LAI(Long-acting injection:持効性注射剤)
統合失調症は慢性疾患であり、規則的に服薬して症状をコントロールする必要があります。しかし、毎日複数回の服薬をつづけるのは、患者さんからすれば面倒です。飲み忘れたり、飲むのが嫌になってしまったりして、服薬が不規則になると、症状悪化・再燃・再入院のリスクが高くなります。
そこで、「処方の簡素化」「アドヒアランスの向上」「再発・再入院の防止」「QOL向上、社会復帰」の理念のもと、数種の持効性注射剤(Long-acting injection:LAI)が用いられています。2週間から4週間おきに1回、肩または臀部に、安定剤の注射を行います。効果は数週間持続します。少々痛みはありますが、キツい、眠い、倒れるということはまずありません。
福井記念病院でのLAI
福井記念病院では、早くからLAIの意義に着目し、積極的に導入してきました。
当院のスーパー救急病棟の統合失調症患者さんで、LAIを使用するのは、15~20%ほどです。(図1)
結果、アドヒアランスの向上、再入院率の低下、という好ましいアウトカムが得られています。
その成果を、数回にわたって海外誌に発表しました。(図2)
LAIをお勧めします。
LAIを使用した患者さんからは、「毎日の服薬がラクになった」「仕事中に隠れて服薬する必要がない」「安定感が持続する感じ」 という好意的な意見が聞かれます。
LAI使用は、「再発・再入院の防止」目的にとどまらず、患者さんの「QOL向上」「社会での過ごしやすさ」につながるものと、強く信じております。
(図1)
(図2)