統合失調症について
統合失調症とは、何らかの原因によってさまざまな情報や刺激に対して脳が対応できず、気持ちや考えがまとまらない状態の精神疾患です。人は喜怒哀楽の感情を持ち合わせていますが、脳内の精神機能ネットワークが上手く働かなくなると、実際にはいない人の声が突然聞こえてきたり、周囲から影口を言われていると思い込んだりと、人によって様々な症状が起こりはじめます。発症の原因ははっきりとわかっていません。
幻覚や妄想といった精神病が主な症状の「陽性症状」と、意欲や自発性が低下する「陰性症状」、臨機応変に対応することが難しくなる「認知機能障害」の3つに大きく分類されます。
主な症状(陽性、陰性、認知機能障害)
陽性症状とは
周囲の気配や音に敏感に反応しやすく、通常では聞こえないものを感じ取ります。不安や恐怖が高まり、周囲に対して不信感が強まり孤独を感じることがあります。
陽性症状の主な症状
- 集中力が低下して注意散漫になる
- 様々な考えが頭に浮かんで混乱してしまう
- 周囲や他人の言動に対して過敏になる
- 周りから悪口を言われていると思い込む
陰性症状とは
周りが出来ていることが出来なくなり、生活する上で支障をきたします。周囲とのコミュニケーションが取れずに、交流ができず孤立しやすくなります。
陰性症状の主な症状
- 何をしていても、感情が一定の状態
- 頭が働かず考えがまとまらない
- 何事にも無気力で意欲が低下してしまう
- 自分の殻に閉じこもり引きこもってしまう
認知機能障害とは
あらゆる情報や刺激に対して、敏感に反応してしまいます。その為、人との会話中でも周囲の音や物が動くことに気を取られたりして落ち着きがなくなります。
認知機能障害の主な症状
- 細部にまでこだわりが強い反面、全体を把握することができない
- 注意力が低く、周囲が気になり落ち着きがない
- 言葉の裏にある意味や意図、比喩を理解できない
- 部屋の整理整頓ができずに散らかっている
- 掃除や洗濯、料理などの手順を理解しづらい
3つの病型(破瓜型(解体型)、緊張型、妄想型)
統合失調症は主に現れる症状や病気の経過によって破瓜型(解体型)、緊張型、妄想型に分類することが出来ます。この3つに当てはまらないタイプも多く存在する為、統合失調症は複数の病気の集合体とも考えられています。
破瓜型(解体型)
破瓜型は、主に思春期から青年期までに発病することが多い統合失調症です。喜怒哀楽の感情の起伏が起こらなくなる、意欲が低下してしまうなどの陰性の症状が最初に現れるのが特徴です。その後、少しずつ陽性症状が現れて人格が変わるといった変化が見られます。
緊張型
緊張型は主に青年期に突然発症します。急に大声を出して叫んだり、身体が緊張状態で奇妙な姿勢になるなどの異常行動が現れます。それらの症状は、数か月程度で消失します。一度発症すると再発を繰り返し、その後破瓜型へと変化していくケースもあります。
妄想型
妄想型は主に30台前後に発症する発病年齢の遅いタイプの統合失調症です。幻覚や妄想などの症状が現れます。社会での人とのコミュニケーションは円滑に保たれていたり、人柄が変化するなどの症状も見られません。
段階ステージ
統合失調症は病気の経過によって前兆期、急性期、休息期、回復期の4段階に分類されます。
前兆期
発祥の前触れとして、不眠や物や光に過敏に反応したり、不安やあせりが強まるなどの変化が現れます。誰でも経験する些細な変化なので、周囲も本人もそのことに気が付ない場合が多いです。
急性期
前兆期が過ぎると、不安や緊張がさらに高まるようになり、幻覚や妄想、興奮した状態などの症状が現れます。これらの症状は統合失調症の陽性症状です。前兆期とは異なり、周囲とのコミュニケーションがうまく取れずに妄想や幻覚に悩まされます。
休息期
急性期が数週間単位にわたって続いた後は、意欲が低下して無気力な状態の休息期が訪れます。寝たきりや家に引きこもったりして過ごすようになり、情緒や精神が不安定な状態で、少しの刺激によってまた急性期へと戻る事もあります。
回復期
休息期は長くて数か月単位で続いた後に、徐々に症状が治まる回復期へと移ります。意欲低下や無気力な状態から脱しますが、回復期に認知機能障害の症状が現れる場合があります。
治療について
統合失調症の治療では、幻覚や妄想などの症状の改善や不安や不眠の解消するために、抗精神病薬などのお薬を用いた薬物療法がおこなわれます。現在では副作用のリスクが低く安全に服用できる新薬の開発も進み、安心して治療が行えます。